サラ金からの借金でどうしようもなくなった場合、裁判所に自己破産の申し立てを行います。
裁判所が自己破産として認めれば借金が帳消しされる。これが、自己破産の目的です。
しかし、自己破産が認められても借金が帳消しされないケースがあることをご存知でしょうか?
目次
自己破産でチャラになる借金とならない借金
サラ金関連の法律で「破産法」があります。破産法には自己破産が認められても借金が帳消しされないケースが記載されています。
例えば「浪費または賭博その他射幸行為」。ギャンブルや豪遊、パチンコなどで借金した場合は自己破産しても棒引きにしてもらえません。
浪費や射幸行為の線引きは明確でない
破産法が制定されているものの、「何が浪費で射幸行為なのか」は明確に線引きされていません。
たまに居酒屋に行く程度なら?一般常識で考えれば、浪費は大袈裟でしょう。
宝くじは?射幸行為とも捉えられますが、1組3000円の宝くじを買ったくらいでは借金の原因にはなりませんよね。
株やFXは?うーん、確かに金融商品はハイリスクハイリターンですよね。一瞬で財産を失う方もいます。弁護士さんの中ではグレーゾーンとしています。投資行為としても捉えられますが・・・
借金が帳消しされるかどうかは本人の意欲
仮にパチンコで作った借金だったとしても、型を落とすのは早いです。
借金の原因が破産法に記載されているものだとしても、裁判所とどのようにやり取りを行うかで借金が帳消しになることがあります。
借金が帳消しされるかどうかを図る上でチェックするポイントはいくつもあります。その中でも重要なのが本人の意欲です。
自己破産を申し立てた後もパチンコを辞める気配がなく、引き続きパチンコ店に通っていた場合、裁判官は借金を帳消しにしようとは思いません。
借金が帳消しされないケースは1%もない
自己破産の申し立てを行い、借金が帳消しされないケースは東京地裁では1%にも満たないと言われています。
破産者がパチンコをしていても、実際はパチンコを破産の原因にあげることはありません。
これは嘘ではなく、「生活費で借金を作った」と解釈されることが多いのです。裁判官も下手に不許可にして抗告されるなんて望んでいないはずです。
裁判官も人間です。パチンコで借金していたとしても、見逃してくれることが多いのです。
借金が帳消しされないケース
最後に、自己破産の申し立てを行っても借金が帳消しされないケースをご紹介します。
① 財産の隠匿
財産があるにもかかわらず、意図的に財産目録から外れた場合、借金が帳消しされないことが多いです。
自分名義の不動産を親族の名義に変更する行為も該当します。
② 換金行為等
自己破産申し立ての直前にクレジットカードで買い物をしてその商品を直ちに換金する行為(ショッピングの現金化)があると、借金は帳消しされません。
③ 偏波弁済
特定の債権者に対し、偏った弁済を行った場合は借金を帳消しされることはありません。
例えば、「お世話になった親戚に対しては返済したい」⇒「先に親族分だけ返済して、それから自己破産しよう」などです。
④ ギャンブルや浪費による財産の減少
収入を大きく超える買い物、競馬やパチンコなどのギャンブル・株取引・FX取引などの射幸行為によって著しく財産を減少させた場合には借金が帳消しされません。
⑤ 詐欺的な借入
自己破産を申し立てる1年以内に債権者に対して虚偽の所得証明書を提出したり、虚偽の身分証明書を提出し、信用状態を偽って借り入れを受けた場合には借金が帳消しされません。
⑥ その他
上記以外に虚偽の債権者一覧表の提出、破産手続きにおいて裁判所が行う調査で嘘の説明をした場合は借金が帳消しされません。
まとめ
自己破産件数は急増した1990年代後半に比べれば落ち着きを取り戻しましたが、2016年での調査では約6万5000件と無視することはできません。
サラ金などへの規制強化で減少が続いてきましたが、2016年度に13年ぶりに増加しています。
自己破産が増加した原因は、無担保で個人融資を行う銀行カードローン事業が拡大していることが考えられます。
銀行カードローンはサラ金に比べて利用限度額が高く設定されます。預金で利用している銀行であれば安心感さえ生まれますが、借金は借金ですよね。
「自己破産すればいいや」で片づけるのではなく、まずはご自身が返済できるかを考えてから借り入れを行いましょう。
審査を実施しているサラ金であれば収入に見合った利用限度額を設定します。必ず審査が行われているサラ金に申し込み、ご自身の生活水準に見合った額を借り入れるようにしましょう。